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2020年01月30日

野生動物を保護したら

こんにちは、獣医師の伊藤です。


ここ最近交通事故等での保護鳥が続いています。
野生動物を保護したら


保護されてきたリュウキュウコノハズク



路上や目立つ場所で弱ってる様子や明らかにケガをしている様子の野生動物を見かけた場合は
基本、まずは各市町村や支庁、環境省へ相談、連絡をしてください。
保護の必要、搬送の可否などをまずは仰いでください。
私も休みの日や動けるときは直接取りに向かうことも不可能ではありませんが、まずはお問い合わせをしてください。


特に今時期は鳥インフルエンザのこともあり、急に野鳥を保護し持ち込みをすることはちょっと注意が必要です。
状況や種類によっては簡易検査の必要がある場合があります。
またペットバードやカイウサギの来院もあり、野生動物との接触は双方のためにも出来る限り避けたい意図があります。


・いきなり捕まえようとしないこと!

野生動物にとって、私たちヒトは怖い外敵です。
必死に逃げようとし、あるいは攻撃をしてくる場合もあります。
捕まえようとして怪我をしてしまう、ケガを悪化させてしまう事にもなりますので、決して無理をしないことです。
そして、声をかける、撫でる、目を見つめるはすべて多大なる恐怖とストレスになります。
たまに抱っこしたり、手に包んだまま搬送する方がいますが、巨大な巨人につかまれ謎の声をかけられ食べられるかもしれない恐怖と思ってください。
タオル等でくるむように捕まえ、すぐに収容箱に移してください。

野生動物を保護したら


リュウキュウコノハズクは100g程度の小さな鳥ですが、それでも猛禽。鋭い爪で握られると針が刺さるように痛いです。
ケナガネズミに咬まれた時はそれはそれは痛かったし結構出血しました。
クロウサギも蹴られるとミミズ腫れになります。


・発見状況をある程度把握してください

保護原因の究明や再発防止につながることがあります。
また、無事回復した場合人為的に個体の移動能力を超えた移動をせず、原則保護地点の近くでリリースします。
早めにリリースできる場合、個体も土地勘がありスムースに復帰できたり、遺伝子攪乱になることをさけます。
路上だった、建物のそばだった、近くにネコやカラスがいた、そういったことも保護原因をさぐるヒントとなります。


・段ボールなどをまず用意!

保護や搬送で一番簡便で便利なのが、段ボールです。
鳥かごなどはメッシュになっており、上記のとおりヒトが怖い野生動物にとっては丸見えなのは大変な恐怖であり
暴れて鳥の羽が擦れてしまいます。
もし鳥かご等しかない場合は、バスタオルなどで周りをしっかり覆って視界をさえぎってください。
何かあった場合のために車に段ボールひとつ!も、おすすめです。
私は常に車に段ボールや応急セットを積んでいます。


・中に餌などは入れないで!

人が怖い野生動物にとって「捕まった!!」という極度のストレス、捕まるほどに弱っているひん死の状態で
餌どうぞ、と言われて簡単には食べません。
むしろ暴れてしまい体が汚れてしまう事や、餌の選択が間違えていることも非常に多いので
餌を、と思うよりは迅速に搬送を!と思ってください。
(※例えば今まで肉食の猛禽にリンゴ、おにぎり、パンなどが入れられていたことがあります。
全く食べるわけもなく、車で搬送中に体につき、汚れてしまう一方です)
中に入れるとしたら、下に敷くペットシーツや新聞くらいで十分です。


・空気穴はいりません。

段ボールをある程度密閉しても、窒息することはありません。
空気穴をあけたり、明るさを保つことで逆に逃げようとしたり、暴れさせて疲弊させてしまいます。
しっかり蓋をしてしまってよいです(ガチガチに蓋をガムテープで閉めろというわけではありませんよ)
真っ暗にすることでかなりストレス回避が出来ます。


・保護したあとは、搬送相談後は基本的に病院です

「少しだけ家で面倒を見よう」「飼ってもいいかな」は、基本すべからくダメです。
野生動物を許可なく飼育することはできませんので、保護の理由であっても違法になります。
必ず指定病院での保護治療、と思ってください。
基本野生動物の飼養登録を新規でとることはもうできませんが、病院の場合は長期に及ぶ場合などは
飼養登録を取り、法律にのっとって保護をしています。


病院で受け取った後は、責任を持って出来る限りの治療を行います。
たまに「クロウサギ保護」など先行して報道に出るケースがありますが、保護治療中の野生動物はお見せすることはできません
「今いるんでしょ?ちょっと見せて」と聞かれることはありますが、動物園とは違い、治療中の身ですので
みせものではないことはご理解ください。
治療中の野生動物、状況によりまずが接する時間は世話や治療の一日数分程度なんてこともあり、他の時間は出来る限り接することはありません。
それほどまでにヒトとの接触はストレスになります。



保護される時点で野生動物は相当弱っており、元気に回復する率は決して高くはありません。
おおむね2~3割です。
ただ、保護後に死んでしまってもそれで終わりではありません。
死因の究明、研究への提供、標本としての保存などその後にもさまざまな道があります。
決して無駄になることはありません。
また、怪我したり弱っている野生動物に関しては、県の指定病院による保護治療のため、保護主さんに治療費がかかることはありません。


鳥インフルに少し触れていますが、万が一その個体がそうだったとしても、よほど濃厚接触(抱きしめて直接スーハ―深呼吸とか、それくらい?)でもしない限りうつることはないと思ってください。
またインフル以外でも野生動物は色々な病気や寄生虫を持っている可能性がありますが、
常識的な衛生概念、保護搬送したあとの手洗いやうがいなどでも十分リスクは減らせます。
必要以上に恐れず、でも必要以上には接触しないことが原則です。

野生動物を保護したら




いつ誰が発見、保護することになるとも分かりません。
「そういえば、何か書いてあったな!」と思い出してもらえると幸いです。


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